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通りがかりで十輪寺 [時井]

黒板から最離脱した 窓際で机を並べ
カーテンオーロラのように
あなたは私のノートを 私より綺麗な字で
休み時間に橋をかけて 書き写し

板書にも説明にもないことを書き足すとき
水路閣の橋桁の鍵穴で 鉛筆は折れ ささったまま
今日は席替え 席替えはくじ引き
あなたは ノートを持った手を振り 新しい席へ引越す

日直が 粉受に置くチョークを投げ 静寂を演出するなら
宿直は 蜘蛛の巣に手裏剣を投げつけるだろう
夜が更ける頃 落葉が宙を浮かぶように

阿弥陀くじ歩き ガスストーブと最接近の席で再会した
あなたは さ・か・さ・札と発音しながら
裏表紙に油性ペンで走書きする 十二月十二日
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通りがかりで十輪寺 [時井]

落葉の吹きだまりは 不安定な段差ステップ
午后のホームルームで 私はありふれた進路を発表し
それから 別離を意味するあなたの進路を耳にする
ありふれたものが あの日ありふれておらず

私は落葉を踏みしめ 登山地図を折りたたむ
奥山から なおこだまする笑い声に 聞き耳をたてるのに
銀杏は落葉を降らし あなたが眠る五合目の山小屋を
帳でかくし 以降 どれも風景が新しく切なく

登山ポストは 届け用紙をかくし 
置き傘は 一しょに下山しようと微笑を投げかけ
登山口は 急坂をかくし 

バス停まで引き返すとき 
老人がバスを黄色に塗り替える
そばで 鹿がペンキ塗りたての貼り紙を 封筒ごと食む
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おまけ
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通りがかりで上植野町 [時井]

パイプ椅子の落葉を手で払い
銀杏の木の下で ラリー参加者を待つ
落葉を掃き 地面をかくし
スタンプの試し押し

起点と終点の異なる参加者が 行き交い
一人は史跡をめぐり 一人は偶然の訪問者
一人は台紙ではなく起案文書の持ち回り
参加者は落葉を拾い 次へ進む

誰かは同級生に似て 自信なく呼び止めると
おもかげをたよりに 私の名前を返す
銀杏の木が檸檬をかぶり てっぺんでは檸檬の香りが舞い

参加者の一人は あなたと会ったと告げる
私は 元気でしたかと問う
小さく笑って あなたも 元気ですかと問うたと告げる
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通りがかりで大極殿公園 [時井]

遮断棹はレールに隔てられ 鏡写し
夜 長編成の貨物列車が走り去るとき
しだり尾が垂れる
それは 時刻表に記載されず

西側のヒラヒラは私 東側のヒラヒラはあの人
夜 風圧に押され秒読みしながら
模擬訓練で 私は質問をひとつし 私に却下される
そして沈黙 せめて言葉にすればよかった 

遮断棹に 誰かが腕を休めるために
たわむれに 鞄を吊り下げる・・・
途方に明け 夜空を見上げ 銀河鉄道を探す

誰かに 敬語を聞かれるのが恥ずかしいから
私は敬語の足を引っぱり 靴を脱がそうとした
だけれども 気にしていたのは 私一人だけかも
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通りがかりで大極殿公園 [時井]

一枚目 路線図 カラー設定
二枚目 時刻表 モノクロ設定
スタートボタンを押し コピー機が立ち上がるとき
時刻表が路線図を追い越し 排紙される

色彩の抜けた白い記憶が
昨日の些細な記憶を越えて
胸を占めるから 違和感を覚える
十月最終週の連休で 夢にさ迷うとき

南校舎の踊り場から見える公園に誘う
公園までの街角で 易占いの老人に出会う
二人は 講義を抜け出して散歩するだろう

南校舎の踊り場から見えるベンチで一休み
ベンチで 易占いの老人に出会う
二人は 二たび逢わぬであろう
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通りがかりで岩戸落葉神社 [時井]

岩戸落葉に向かう途中
その人は 窓越しに古書店の看板を見つけ
途中下車してよいか私に尋ね 降車ボタンを押した
小さな店内に 探し物は見当たらず

その人を訪れた永遠の別離に
ただ 一方通行を承知で
非日常の数秒の気晴らしのために
私のありふれた日々を 数行つづり投函し続けた・・・

題名さえ 思い出せず
そうして 窓越しに 古書店を見つけるより早く
銀杏の風景にたどりつく

夜更けの電話は 告別式がおわったことを
知らせるもの だけれども涙声は
日時を知らせるものだったとしたら
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通りがかりで源光庵 [時井]

昼休み 私らは窓枠ではしゃぎ つなひきのように
迷いの窓を 押して引いて 引いて押して
それは 大空に助けを求め 青空にもたれかかり
予想外に レールを脱線し 手を離れ

階下をのぞくと 焼却炉の灰の煙にむせぶ
窓枠は花壇で 木のおもちゃのスロープのように
階下の大騒ぎに 私は迷いを忘れ
硝子は粉々に 渡り廊下の屋根まで跳ね

相談室 押したらどうなるかわかるでしょう
私が押したのは 窓ではない
反論することなく Vネックが首を絞め息苦しく

休み時間 土山さんの板書を消す
私ははじめてから あなたはエリーザベトから
七行目をいっしょに消すとき 新しい硝子が搬入され
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通りがかりで金蔵寺 [時井]

目覚めの夢 少将の通い道で池の底をのぞくとき
石盤の欠けたふちにつまずく
午前の夢 土山さんが古典の授業で少将を紹介するとき
私の手のPTP包装シートに興味を示す

久しぶりに 茅の実を拾いに行きたい
地図に ブルーインクで目印をつけましょう
退屈な夢を 素敵に時間つぶししたい
白いカッターも ハンカチもお貸ししましょう

午后の授業 土山さんは朗読する
もう春は過ぎ去り いつのまにか夏がやって来ています
カーテンレールにカッターシャツ ピアノの屋根にハンカチ

これは 何を閉じ込めるもの?
これは 時間の流れを閉じ込めるもの
私は幾つかソネットを作ったことを知らせるか迷う
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おまけ
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通りがかりで業平寺(季節はずれのアジサイ) [時井]

子供たち わずかな時間に 全力で田んぼ
公園は 登校班の声にみちあふれ
鬼が登校を提案するまで 忘れ物ないよう
門をくぐれば 疲れも忘れるらしい

子供たち ランドセルシーソーに並べ
ブランコを漕ぎ 水たまりを超えてくつ飛ばし
ぬれた滑り台を 勇気を出して走り下り
そして 地面に爪先で田の線を引き 田んぼ

秋の田の庵から借りた長靴を 鬼は履き
ひとり孤独に 子供を追いかける
誰かは鬼の目を盗み 両足で加速し

秋の田のケンケンに疲れ 片足で立つから
足裏は露にぬれ 砂利にぬれ
取り戻したくつは下級生の靴 私のくつは中心で裏返し
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通りがかりで詩仙堂 [時井]

思いがけず 毛布の中で かくれんぼ
だから たった一日だけ かくれんぼ
あのときと同じ 季節が徐行する朝につきあっているだけ
だから おつきあいは 今日だけ

午前 温もりの毛布に くるまり
きっと たった一日だけ かくれんぼ
覚えてる? あのとき週末はどっかに行ったこと?
いつまで 優しいあなたは私の胸に かくれんぼ?

午后 ワイドショーとドラマの音声を聴く
あのころ あなたはワイヤレスリモコンの感度を嘆き
ボタン電池を交換するが改善せず なお嘆き

夕暮 ソファに移動し ハンカチに気づき
カーテンレールに下がるシャツに気づく
鬼は滑り台の下で 目をとじ幾つまで数えただろうか?
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