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通りがかりで竹薮の土入れ [時井]

ありふれた日々は 連続する波線
上り坂と下り坂を ブランコのように幾度も往復し
夜 波消しブロックまでよじのぼる
車窓の中で 誰かとの会話の中で 眠りの中で

朝なのに 私は朝の行動を取れず
確か 昨夜 少将の通い道で倒れ込み
握っていた茅の実を落とす
進むべき明日と戻れない過去の景色を 区別できず

一日と一日は手をつなぎ 連続する波線 
ふだん 本当に本当に無意識に 手のひらに到着し
時には 優しい人の手に引き上げられ

時には 絶壁に爪をたて自らよじのぼり
時には 時計とにらみ合い 毛布の温もりにしがみつき
昨日の波に 私は漂っているばかり
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おまけ
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通りがかりで隋心院 [時井]

私の緑のブロアの気ままな風と
あなたの緑のブロアの気紛れの風がぶつかり
不定期に旋風が発生するとき
笑いながら 寄せ集めた銀杏の落葉をはじけさせた

空を見上げ 機体に風を送り 加速させ
あれは海の上を飛んでいるだろうか
空を見上げ 星に風を送り 流れ星をキラキラ降らせ
誰か この奇跡を偶然眺めただろうか

晩秋私はひとり ブロアで風の道を作る
だけれども 倉庫前まで延長コードが届かず
箒を取りに戻るとき 旋風が全てはじけさせ 心も

今日私は 結局 落葉を吹き払わなかったのに
あなたのやさしさを思い出すたび
一行 さらに一行 積もってゆく
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通りがかりで隋心院 [時井]

柵に囲まれた猫じゃらしの草原を 撮影する
草むらから あなめというひびきを 耳にする
透明な山羊が 足拍子を踏むのか 生え方はまばら
ねこが 日向ぼっこでゴロ寝するのか まばら

あの頃 席を離れることさえ
切なくためらったのに
翌日 私は草むらに入り 躓くとき あの声は停止する
ただ 私の足元には 植木鉢が転がるだけ

午后 老人は草むしりを終え 子供たちの遊び場となるだろう
草原にかくされていたのは テニスボール ブーメラン ヘルメット
自転車 ブロック塀の走り書き

夕暮 秋風は皮膚にささり 静脈を伝わり心臓に届く
そして心臓から逆流するのは あなたがいない寂しさ
NOといわじ 好きか嫌いかでいうと 好きだった
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おまけ
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通りがかりで水路閣 [時井]

ひとりは 建築現場を訪ね 端切れをゆずりうけ
竹は風呂釜に焚べると破裂し 紙屑は黒い煤ばかり
煙突を 炎の行方や煙の向きを 少し気にしながら
だけれどもいつも沸かしすぎ 湯を捨てさらに水でうめ 

ひとりは 警備のいない 水路閣に迷い込み
橋上の林をぬう小川から 絶景かなとささやく声
誰かが 見下ろす風景を想像し 台座の膨らみに腰かけ
修学旅行生は アーチ橋の橋桁の小さなトンネルで かくれんぼ

私は 河原町通りを歩き 誰かの声を聞きたいのに
パッカー車が遮り 誰かは耳をおおう
追い払われた烏が 低い屋根で待機し

私は 聚楽第に忍び込み 誰かの寝顔を見つめたいのに
千鳥は啼いて 警護に囲まれるだろう
そして 香炉の灰を数えるだろう
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タグ:水路閣
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通りがかりで嵯峨野 [時井]

竹林の道で 葵上の牛車ともすれちがわず
野宮神社そばの踏切に 車止め
始発列車の通過したあと 2ドアを下り
私は 掃き掃除をする神職に挨拶をし

祇王寺の山門は閉じ 朝日が藁ぶきを照らす頃
私服の白拍子が 受付のガラス拭きをする
祇王らは 夜通し始発を待ち 都を捨てただろう
仏御前は 終発で観光客から隠れ 草庵を訪ねただろう

ありふれた日々は 思うようになり またならず
私の夢は 誰を訪ねるだろう
私は夢を捨てて どこへ旅立つだろう

百一歳まで生き抜いた彼女から 最后の手紙が押し入れの敷布に届く
割印した封筒を 今夜は開封せず 百か日までお預け
宛先は I 家のみなさまへ
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おまけ
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通りがかりで業平寺 [時井]

颱風が進路を決めるとき
のぼり旗を飛ばさぬよう 私は結束バンドを切り
傘立てにさし 段差プレートを川下に流さぬよう
あなたは自転車置場に引き上げ

暗い夜 私はあなたを盗み出すとき
粗末な蔵に鬼はいないか?問う
芥川という河で 草の上に露は降りないか?問い
土砂降りになる頃 あなたを送る

翌朝 老人は踏切で横断旗を持ち 児童を待つ
私は休校を告げるが 雷の鳴る騒がしさに届かない
ひっくり返った篭 ネズミの脱走 あなたは進路を決めるらしい

幾日か 青空が続けば
老人は竹薮に畳を運び カッターで解くだろう
そして石を拾い 農道の水たまりに投げ込むだろう
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おまけ
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通りがかりで嵯峨野 [時井]

三逮夜で黒いネクタイを結ぶ
桝形道路でハンカチを忘れたことに気づき
必要ありなしに あきらめる
通りがかりでセンサーライトは 私の行く先を照らす

口ごもり ご丁寧さんにどうも 靴を脱ぐ
樒の葉のお水を交換すると
並べられた座布団は オセロの黒石ばかり
私は Fさんとあなたの昔話をする

木鉦は雨だれのち大雨警報 バイを折り
いつしか合唱が始まり 私は置いてけぼり
リフレインさえ 私は遠慮する

帰りぎわ 粗供養をうけとる
桜の木の影で 2ドアを洗車するとき
散歩する杖をつく音を聞いたと
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通りがかりで大原野 [時井]

倒壊建物の柱を 組長はジャッキアップし
救助されるのは 案山子
私ら担架班は 救護テントまで運ぶ
あなたは もう少し頭側上げて 不安を和らげてと

東隣りの農園から 煙が風に流され
煙体験ハウスとの境界を 不鮮明にするから
参加者はハウスを出たはずなのに
出口を探して 二たび入口に迷い込む

消防団員は 銀合羽を羽織り
ポンプ車は プールから給水する
筒先への指示は 校舎屋上に放物線を描け

放水終了のサイレンは 虹がテニスコートにサーブするとき
団員はホースを離脱し 四匹のカタツムリを並べた
安田さんの講評は 合羽を脱いで
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通りがかりで嵯峨野 [時井]

私は銀色の助手席 遮断機の向うは傘をさす後姿
上りの準急と下りの回送が 私の手を引っぱる
私は五十歩追いかけ 私の影は百歩追いかけ
遮断機が 意気地なしとささやく

中学生の恋人たち 郵便受け 見つめあいもたれるとき
私は 明日の予報が知りたいから 夕刊をせがむ
あなたは 何も持たず戻り あの雨やどり 分かって行かしたね
あの日 傘をささず 定時に帰宅した 早足で

老人の待合わせは 浄水場東のメタセコイア
竹薮で 笹を紐でしばり束を作り
トラックで 田んぼから藁を竹薮に運び広げ

嵐山線の終点で下車 竹薮で踏切を渡る
落柿舎で迷子 雨やどりする
修学旅行生の待合わせは 渡月橋北詰
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通りがかりでR32スカイライン [時井]

集合場所のテントに向かう途中
遊園地で見るような乗り物に
進路をゆずり
少し早歩きになり

消防団員は ミニ消防車を運転し
笑顔の幼子を乗せ 緊張の幼子を乗せ
広報係は最高の一枚をねらうが
運動会とかさなる今日は 子供たちの姿が少ない

あなたは 私の耳元にささやく
体育館の伝言ゲーム
今日の支援物資の配給は おにぎり2個とパン1個です

安田さんから 頑張ってますかと声をかけられる
災害支援型自販機のそば
あなたは 平常心を失っても 私は平常心でいてねと
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