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通りがかりで峰山球場 [時井]

あなたはジェンヌの知人をやっぱり可愛い人よと話す
私があなたには負けますよと言うと ヒットと笑った
徒歩で通える距離なのに何で歩かないの?と聞く
夕立で困っているあなたを送るためですよと答えると 言うねと笑った

おはようございますと言ったあと 今日の服見えすぎですよと言うと
どこ見てんの?と笑った
そして あなたは夢のなかで 泥酔の女王となったことがあると
黒い水着は 思い出すだけで恥ずかしいと 笑った

季節も何月かも覚えていない 席の位置以外は
私の耳は誰かの声を忘れ 誰かの言葉は私に残った
ありふれた日常のなかで 時を超えて

来てはりますよと教わり 西事務室に行くと
風通しに開けた窓から あなたが不法進入していた
元気にしてるじゃん 思ったよりと ありふれた日常で再会した
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通りがかりで黄檗球場 [時井]

夢を抱きしめているのに 同じ夢の誰かが去るように
門灯に抜け殻を残し 仰向けに朝をむかえた
土に戻るがいい 摘まむと手足で抵抗するから
木につかまらせると 螺旋の羽根を試すことなく上っていく

少年は小さいやかんで 根元の穴に水を注ぎ
(幼虫は自ら穴を出なければ 木をつかめないから)
水が引くと二たび注ぎ 泡を 登る場所を探す姿を 待った
(幾度かは幼虫取りに失敗し 土をかき寄せ隠した)

少年の虫取り網は 枝にも空にも届かなかった
すべり台の階段の下の抜け穴は 雨やどりの忘れ物
葉っぱの抜け殻は 青い空にも意地のわるいいふくろうにも 忘れられたまま

少年は捕球に失敗し ぶらんこまで追いかけ
羽化する青い羽を見つけ かなしく思った
夕立が小降りになるまで あなたがお喋りをするように
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通りがかりで鬼百合(向日市) [時井]

花輪をかぶった猫が 頭をもたげて夏空を気にするように
あなたが 肩こりと夏風ぜで早退するとき
佳人と言いかけると あなたは美人薄命とかさねた
私は どちらもいっしょと訂正しなかった

山どりが 降る雫を気にせず家路を急ぐように
私が 雨降りに惹かれて早退するとき
どこ行くの?と尋ね 私はいいとこと答えた
休みますか? あなたはパスと告げた

あなたは午后の早退のように 眩しい余韻を残し旅立つから
落葉松の林で 時おり 真昼の日傘をさして歩いているから
たとえるなら 一時雨 私は心なしか青空を待つ

2ドアで通りがかった村役場 脇道に鬼百合を見つけた
小雨 野球少年の自転車が追い越していく
最後尾の白いユニフォーム 背番号9
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通りがかりで蓮(平の沢池・亀岡市) [時井]

五月の模様替え カーテンと壁紙
ソファの踏み台 私は板バネのチーズの罠を見つける
忘れ物? 贈り物?
チーズの味は あなたの嫌った 無視 妥協 甘えでしょうか

ありふれた日々を過ごし 遭遇する 何かしらの出来事
私は語り 少し大げさに
笑 怒 肯定 否定 質問 を期待して
そして打ち忘れるはずなのに 時おりあなたは 覚えていて誰かに話す

コーヒーが沸き 一息つくころ 窓ガラスにノック
旋風が部屋に割り込む 入口を探すように 壁伝い
みすぼらしい姿のねずみが 隠れ家から現れ

明日 雑貨屋をめぐり チーズを買うだろう
あなたがすでに聞き分けていたものを 私も今耳にすることができる
ディスプレーを引っかく音 コードをかじる音 ぺたぺたと足跡をつける音
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通りがかりで乙訓大会 [時井]

誰かは あなたを引きとめ しかし振りほどかれる
あなたは ひきだしや本箱を整理しながら
幾日 別れの秒読みを 私に告げ続ける
私は あなたの手を離さないため何をしただろう

誰かは あなたを訪ね ただ部屋の窓から空を見つめた
私は あと一度見舞いに行くきっかけを失う
まだ まだ 話したいことがあるのに・・・
桜の満開に あなたの細い指は届かないだろう

そして二人 同じ日 ここを去り 私は共有した時間の片方を失う
花束の用意に 私はためらい あなたは一瞬ためらい手にし
家族のみの葬儀があり 私は仕事部屋から別れを告げ

そして独り 戸じまり 室内等を消しに戻っても 部屋は空っぽ
行ってきます 行ってらっしゃい
あなたも あなたも 声をたてて笑った 忘れ物に気づき引き返したとき
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通りがかりで向日葵 [時井]

ある夢 夏まつり あなたは私を追いかけ追いつき
少し言葉をかわし 別れ際 言葉をにごし また今度と告げた
ある夢 私の背中に あなたは気づかず追い越し
だけれどもたった一度だけ ふりむいて笑顔を見せた

あの頃 出発の合図を待つ 山鉾のそばで待ち合わせた
確かに 人波に溺れず 後姿だけで出会えた
私らは 昔物語の城の姫様のように
あの頃 金色の鳥を必要としなかったのに

だけれどもたった一度だけ 小さな老人を私は探した
ある日 あなたが城の姫様になったとき
何も嫌われるつもりでは言ってはいないのに 好きか嫌いかでいうと好きなのに

ある夢 若者が金色の鳥を抱き
何十人もの行列がよたよたと 私を追い越す
行列にも 後姿にも 夢にも 笑い声はひびかない
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通りがかりで模様硝子(京都市西京区・うお嘉) [時井]

木曜日 水車のそばで 草むらのにおいをかぎながら
朝の光を浴び 土手の草むしり ポケットでは
金貨と銀貨のふれあい 楽しくお喋りしながら
あの頃 私らは似た者だったかもしれない

木漏れ日 目を閉じくしゃみ ポケットから
すべるペン 口にした指の草のにおい
青く色づくせせらぎ このさきカーブを描きつつ
水路が運ぶ 花と草 追い越し追い越され

午前 草むしりを適当に終え 片付けをすます
土手に腰をおろし 一息つく
あの頃 ミルクの花言葉で 冷蔵庫で遊んでいただろう

水路が運ぶ 紙片を閉じこめた小瓶
見覚えのある文字 とっさに手を離す
揺さぶれば 誰を待つことなく 紙片はひらくだろう
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通りがかりで祇園祭(東洞院高辻下る) [時井]

一本の白樺の木に 置き去りの約束を結ぶ
約束は枝を折り 私はさらに失望を 恨みを
幹ばかりになるまで 繰り返す
おもちゃの兵士は 小さな籠にねずみを閉じ込めていた

白樺が ひとつの季節より早く老い
帰郷を告白するとき
私はあなたを誘い おもちゃの兵士と 祝杯をあげるだろう
そして酔いしれて 誰も知らない歌を 裏声で歌うだろう

無名な画家は 静止を強要しただろう
旅人は暖をとるため 枝を折り まきにしただろう
欲張り老人が灰をまき 若葉を枯らしただろう

日曜日 私は林を散歩し 斧が刻むひびきに
みちびかれ出会う
木樵女は額の汗を拭い 静かに私に襷(たすき)を渡す
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おまけ
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通りがかりで蓮(石清水八幡宮放生池・八幡市) [時井]

初夏 仕事部屋で紛失に気づく ようやく今頃!
昔探し物をして 置き場を一定にするよう注意を受けたのに
子供が手に結ぶ風船 いつのまにか
風船は手から離れ・・・すでに辺りに見えず・・・今更手を伸ばす

ようやく雨脚が弱まるとき 鳥が 通り雨だからじきに
あかると わざわざ私まで届くよう鳴く
追い風と同時に 響いたなつかしい言葉
ブルーインク マジック 花の精

長椅子で私が待つのは 雨間 循環バス あなた 返事
いえ何も待ってない? 本当に? 老人が下車し
雨傘を広げ 手のひらで雨をさわり傘をとじ 水たまりをよけ

バスは 雨に垂れた梢の雫を浴びて発車し
2ドアは 後輪を滑らせ水たまりを拭いた
もしも もしすれちがうとき 雨傘をさしていますか? いませんか?
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通りがかりで蓮(向日市) [時井]

引きとめられず 足音もなく去らせた銀の道・・・
・・・置時計が茶目に刻み 一日の疲れを忘れさせ
帰る支度を思い出させ 落葉松林の細道で
影は 私をついて回り 既視感を拾う

ある日 午前の途中 あなたが口をつぐむのも
ある日 何ごともなく あなたが昔のことを語りだすのも
樹木の枝が 手を振るように
影が 心をかがみにうつし 私の言葉を伝え 私は言葉で伝えきれず

人知れず おもちゃの兵士が 時計を進めるとき
影は 風に揺られ 手を振っているうちに
私の指を振りほどき どこをさ迷うだろう

林のなかで 時おり 既視感を拾うときは
私が 私を無視する顔とすれちがうとき
一日のおわり 長針と短針がかさなり 影は回帰する
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